薬剤師コラム~おくすり手帳情報を提出しよう!~
みなさん、おくすり手帳を使っていますか? 薬局や病院などの医療機関でおくすり手帳の提出を求められることが増えています。 しかし、おくすり手帳を普段携帯していなかったり、医療機関に持っていくことを忘れてしまったりする人は少なくありません。 なんとなく持っている、薬局でもらったから使っているという方もいるのではないでしょうか。 このコラムではおくすり手帳について説明します。
おくすり手帳とは?
まずはどんなことに利用されているかを知っていただくため、おくすり手帳とは何かをご紹介します。
おくすり手帳とは、あなたが使っているすべての薬を記録するための手帳です。
いつ、どの医療機関で処方され、どの薬局で、どんな薬を何日分調剤されたかが分かるように記載してあります。医師や薬剤師は、おくすり手帳に書かれた情報をもとに、薬を処方、調剤しています。
ところで、みなさんは、いつも同じ薬局で薬をもらっていますか?
それとも、行った病院ごとに別の薬局に行っていますか?
病院や薬局には患者ごとに薬歴という、処方された薬の履歴が残っています。
しかし、違う病院、違う薬局の履歴は基本的には確認できないため、処方箋だけでは患者が飲んでいるすべての薬を知ることはできません。
そこで活躍するのがおくすり手帳なのです。
なぜおくすり手帳の提出が必要なの?
先ほどご紹介した通り、みなさんが飲んでいるすべての薬を確認するには薬局や病院の薬歴だけでは足りません。
みなさんが持っているおくすり手帳には様々な医療機関での処方が書いてあるため、不足している情報を補うことができます。では得た情報で何を確認しているのでしょうか。
●薬の飲み合わせを確認する(相互作用確認)
2つのものがお互いに悪い影響を及ぼすことを相互作用といいます。
処方箋でもらう薬は、別の薬と影響しあうことで本来の効果が発揮されなくなってしまいます。
また、市販薬やサプリメント・健康食品とも相互作用を起こすため、安全に薬を飲んでいただくために普段飲んでいる薬を確認することは重要なことです。
●同じ効果のある薬の重複を回避する(同種同効薬および同一成分薬回避)
胃薬や頭痛薬といっても、実は同じ効果を持つ薬は複数存在します。
同じ効果を持つ薬を複数飲んでしまうと、想定よりも強い作用が現れたり副作用の発現頻度が高くなったりすることで体に負担がかかる状態になります。
安全性と有効性を両立するには、適正な種類の薬を適正な量で飲む必要があります。
提出するメリットは?
①処方日や処方日数が記載されているため、残っている薬の数を確認し、過不足なくお渡しできる
受診ごとに出ている薬は口頭で確認しやすいですが、たまにしか飲まないような薬(例えば症状がある時だけ飲むような頭痛薬などの頓服薬)は気が付いたら手持ちがなくなっていたり、不要であったりする場面を見かけます。そこで、おくすり手帳を確認させていただくことで、薬剤師がご自宅の薬の在庫管理をお手伝いできます。
②薬の副作用歴やアレルギー歴を確認できる
医師や薬剤師が必要としている情報として、副作用情報およびアレルギー情報があります。多くのおくすり手帳の1ページ目にはアレルギー情報や副作用が起きた薬を記載できる箇所が設けられています。
大豆・牛乳・卵などの食べ物のアレルギーがあると、避けたほうが良い薬があるため、一般的なアレルギー情報がとても重要になってきます。過去に合わなかったアレルギー疑いの薬や合わなかった薬剤の情報、食物アレルギー情報を得ることで、安全に薬をお渡しすることができます。
③災害時こそおくすり手帳の携帯が必要
2024年1月、能登半島地震に見舞われました。ライフラインが崩壊し、電気や水の共有が再開されるまで多くの時間を要しました。自然災害が発生した場合、医療機関はカルテや薬の履歴をパソコンで見ることができない場合があります。
そうなってしまうと、医療機関で患者の診察や薬の情報を見ることはできないうえに、医師は電子カルテで処方箋を入力し発行することもできないため手書き処方箋を書いて、薬剤師はそれをもとに薬を調剤することが想定されます。そんなときに役に立つのがおくすり手帳です。おくすり手帳を持っていれば、普段飲んでいる薬を医療従事者へ伝えることができます。
不慮の事故が発生した場合にも同様に、意識がないなど会話ができない状態であってもおくすり手帳を携帯していれば、必要な薬をスムーズに準備することができます。
提出時は1ページでいいの?どれくらいの期間を出せばいいの?
くすり手帳は最新のものと1つ前のものを携帯しよう!
おくすり手帳を提出していただくと、薬の相互作用がないか、次回受診まで足りるかなどの確認を行うことができます。すると、患者がより安全・安心して薬を飲み続けられるようになります。
ですので、受診しているすべての医療機関の薬の情報が分かる状態で提出していただくことが良いでしょう。
また、たまにしかもらわないような薬を処方してほしい場合、その情報も載っている状態で提出していただくと、同じ薬を同じ飲み方で処方がしやすくなります。
おくすり手帳を使う時のポイント
①薬局でおくすり手帳を忘れてしまったときは、必ずおくすり手帳シールをもらおう!
②おくすり手帳はあなたのための薬の歴史書。薬を飲んでいて気になることやアレルギー・副作用が起きた場合は、書いてある薬の名称の近くにメモを残そう!
③おくすり手帳は一番新しいものと、1つ前に使用していたものを持参しよう!
④何かあった時のために、おくすり手帳は常に携帯しよう!
みなさん、おくすり手帳の理解は深まりましたか?
おくすり手帳の情報を医師や薬剤師に共有する事でより安全で正確な医療が提供できます。
MY MEDICAでは予約したタイミングから診察を受ける直前までおくすり手帳の情報を提出する事ができます。
お持ちのおくすり手帳の写真を撮ってぜひMY MEDICAにアップロードしてより安全で正確な医療を受けてください。
