健康診断結果の読み解き方

「健康診断の結果が返ってきたけど、アルファベットばかりでよく分からない」
「『要精密検査』とあるけど、自覚症状もないし、放置しても大丈夫?」
「再検査に行かなきゃいけないのは分かっているけど、何科に行けばいいんだろう…」
健康診断の結果票を受け取った時、このような疑問や不安を持つ方は非常に多いのではないでしょうか。
ずらりと並ぶ専門用語や数字を見ると、そっと封筒を閉じてしまいたくなる…そう感じるのも無理はありません。
しかし、この結果票は単なる数字の羅列ではありません。
あなたの体の内側からの「無言のメッセージ」が記された手紙なんです。
この記事では、忙しい皆さんでもここだけは押さえてほしい、「結果の見方のポイント」に絞って、分かりやすく解説します。
まずは、総合判定や各項目の横についているアルファベット(A~Gなど)を見てみましょう。これは、あなたの体の状態を示す「交通信号」のようなものだと思ってください。
AやBは「青信号」。Cは「黄色信号」。そしてD以下は、止まれの「赤信号」です。
| 判定 | 意味 | 受け止め方 |
|---|---|---|
| A | 基準値内 | この調子で維持しましょう |
| B | やや注意 | 生活習慣の見直しを始める良いタイミング |
| C | 軽度異常/経過観察 | 数値の変化に注目しつつ、生活改善を意識 |
| D | 異常の可能性あり(要再検査) | 医師の判断をあおぎましょう |
| E | 要治療/治療中 | 治療・医師の指示を継続しましょう |
| F/G | 精密検査未受診 or 高度異常など | 早めに受診し、確認しましょう |
特に「D~G」は、医療的な対応が必要な領域です。赤信号を無視して交差点に突っ込むのが危険なように、D判定を無視して生活を続けるのはとてもリスクが高いこと、なんとなくイメージできますよね。ドキッとするかもしれませんが、「事故が起きる前に信号に気づけた」と思って、一度立ち止まって確認しましょう。
判定を見たら、次は具体的な中身です。すべてを完璧に理解する必要はありませんが、特に関わりの深い「4つの項目」の意味を知っておくと、体の状態がイメージしやすくなります。
① 血圧
これは、血管という「ホース」にかかっている圧力のことです。数値が高い状態は、ホースがパンパンに張り詰め、内側から常に強い力で叩かれているようなものなんですね。放置すると、ある日突然ホースが破裂したり(脳出血)、詰まったりする原因になります。
② 血糖値(空腹時血糖・HbA1c)
血液という「ガソリン」の質を表します。特に「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」は、過去1〜2ヶ月の平均的な状態を表す成績表のようなものです。ここが高いと、血液の中に余分な糖分があふれ、血管の内側を傷つけてボロボロにしてしまうわけなんです。
③ 脂質(LDL/HDL/中性脂肪)
血液の中を流れる「脂(あぶら)」のバランスです。
LDL(悪玉):全身にコレステロールを運ぶ「運搬トラック」。増えすぎると荷物を血管の壁に置き去りにし、血管を詰まらせます。
HDL(善玉):余分なコレステロールを回収する「お掃除カー」。これが少ないと、血管の掃除が追いつかなくなります。
中性脂肪:体を動かすエネルギーの「貯金」。増えすぎると、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまいます。
④ 肝機能(AST・ALT・γ-GTP)
肝臓は、体内の毒素をろ過する「フィルター」であり、エネルギーを貯蔵するタンクです。「沈黙の臓器」と呼ばれるほど我慢強い肝臓ですが、数値が高いということは、「もう限界です!」というSOSが出ている状態。お酒の飲み過ぎや、内臓脂肪の蓄積(脂肪肝)によって、肝臓の細胞が壊れて中身が漏れ出していないかチェックしましょう。
判定や数値を見る時、今年の点数だけに一喜一憂していませんか? 実は、体調というのはある日突然ガラッと変わるものではありません。毎日の積み重ねで、少しずつ変化していくものです。だからこそ、「前年との比較(変化)」にこそ意味があるんですね。
- 少しずつ上がっていないか:判定がAのままでも、数値がじわじわ上がっているなら「要注意」のサインです。
- 横ばいならOK:年齢を重ねても数値が変わっていなければ、今の生活で維持できている証拠です。
- 改善した点は自信に:努力が数値に現れているなら、それは素晴らしいことです!
点(今年の結果)だけでなく、線(毎年の推移)で方向性を見ることで、将来への漠然とした不安を小さくすることができます。
判定欄に「医師の指示(要精密検査・要治療など)」がある場合は、それに従うのが最優先です。自己判断でスルーせず、必ず医療機関を受診してください。そのうえで、日々の生活で意識してほしいのが、以下の「無理のない改善」です。
- 食事:「絶対に禁止」ではなく、塩分・脂質・糖分のとり過ぎを「控える」意識を。
- 水分:体の巡りを良くするために、こまめな水分補給を。
- 睡眠:傷ついた体を修復するために、睡眠時間の確保を。
- 運動:エレベーターではなく階段を使うなど、適度な運動を。
いきなり100点を目指す必要はありません。体の数値は、“気づけたタイミング”が一番元に戻しやすいのです。今日からできる小さな「ヒント」を、結果票から受け取ってみてくださいね。
もし、悪い判定があったとしても、落ち込む必要はありません。原因は不摂生だけでなく、遺伝や加齢など、自分ではどうしようもない要素も大きく関係しているからです。
大切なのは、「体の声(サイン)に気づけた」ということです。今は痛くも痒くもないかもしれませんが、そのサインを無視し続けると、5年後、10年後に大きな病気となって現れる可能性があります。逆に言えば、今気づけたあなたはラッキーなのです。今から対策を始めれば、未来の健康を守ることができます。
まずは結果票をもう一度開き、ご自身の「今」と向き合ってみてください。


